東証APIサービスが使い物にならない件について
10年以上ずっと待ち望んでいた、東証のAPI公開・・・株式市場のマーケットデータが(証券会社や機関投資家以外にも)WebAPIで公開されるというニュースが飛び込んできました。
ずっと待ち望んでいただけに、このニュースに(一瞬)声を出して喜んだのですが、そんな自分が愚かでした。公開されたAPIのインターフェイス仕様書をざっと見てガックリしたのは私だけではないでしょう。
「約定値段情報API」の仕様書は非常にざっくりとしたものですが、簡単に言うと、
というAPIエンドポイントに、HTTPのPOSTでRequest Bodyに入れたJson形式で銘柄コードとAPIキーを送信し、そのリクエストのReponse BodyでStatusCodeや銘柄の約定価格データが返却される仕様になっています。
頭を抱えたくなります。RESTでもなければ、かといってRPCでもない。
単に取得するだけなのだから、HTTPのGETでAPIキーはヘッダに、銘柄コードはURIのパラメータでやろうな、と。Jsonのレスポンス(出来たらXML形式も用意してくださいね)にHTTPもどきの「StatusCode 200」とか埋め込んで返却とか、HTTPのステータスコードの仕様メカニズムを完全に無視しているのはどういう事?独自エラーコードなら定義は?とか、それどうなのよ?と思わせるような点というか、色々と突っ込みどころが多すぎで・・・
しかも、
本サービスは、20分ディレイの約定値段情報(更新間隔:1分毎)を提供します。
こんなん使う人いるのだろうか。
その上、約定値段情報の利用だけで、基本料金が8万円とか。第三者提供はさらに課金って、アプリ作って公開したら第三者提供になってしまうのだろうか・・・
因みに、暗号資産の業界では・・・
既に暗号資産(いわゆる仮想通貨)の取引はREST(ful) APIで全て出来ています。「最新取引価格(LTP)」といったマーケットデータだけでなく、取引を含む各種操作ができます。APIによっては送金なども可能。さらにWeb Socket Streamsなどのリアルタイム通信にも対応している所もありますね。
当然、利用は完全に無料ですので、様々なデベロッパーが利用してエコシステムが出来つつあります。
一例として、ビットバンクという日本の取引所は以下のようなAPIを提供しています。
他にも、ビットフライヤーのAPIドキュメントはこちら。 海外(英語圏)は本家という感じでもっと色々あります。
ビットコインやその他の暗号資産に関わる取引におけるAPIは、ぶっちゃけ、今回の東証のAPIよりも、何倍も良く設計されており、機能も多く、それらの利用は当然のように無料です。
個人がビットバンクのAPIを利用して、楽天証券が出している株式トレーディングツール、「マーケットスピード」のようなデスクトップの取引アプリを開発するのも簡単です。
例えば、こんな感じの。
あ、はい、これ自分が使いたかったので自分で作りました。
こんなのも作れます。
因みに、上記のはマイクロソフトのアプリストアで(当然無料)公開していますので、誰でも気軽に使えます。